確認記事
作成・確認・承認を、同じ「利用者」にしない
公開日 / 編集: 村上祥太
請求書ソフトを比べるときは、利用人数を数える前に、作成・確認・承認・送付・入金確認・契約管理の役割を分けて書き出します。同じ「3人で使う」でも、3人とも請求書を作るのか、1人が作って2人が確かめるのかで、確かめる製品の条件が変わるためです。
「利用人数」だけでは足りない理由
製品の料金ページには、同時に使える人数やメンバーの招待といった条件が載っています。人数の上限は分かりやすい比較の軸ですが、上限に収まるかどうかと、自社の分担で運用できるかどうかは別の問いです。
たとえば、作成する人と送る前に確認する人を分けたい場合、確かめるべきなのは「確認する人が、作成した帳票を勝手に送れないか」「確認した記録が残るか」です。人数の上限が足りていても、招待されたメンバー全員が同じ操作をできる仕組みなら、確認の手順は社内の約束事で守ることになります。
6つの役割を書き出す
役割は名前ではなく、作業の単位で書きます。1人が複数の役割を持つのは普通のことです。
| 役割 | 担当する作業 | ソフトで確かめる条件 |
|---|---|---|
| 作成者 | 見積書・納品書・請求書を作る | 複数人で同時に作れるか、人数の上限 |
| 確認者 | 送る前に金額・宛先を見る | 作成者と使える操作を分けられるか |
| 承認者 | 送付を認め、その記録を残す | 承認の機能があるか、どの契約で使えるか |
| 送付者 | メール・郵送で取引先へ送る | 送付を特定の人に限れるか |
| 入金確認者 | 入金と請求書を照らし合わせる | 入金の状態を記録・照合できるか |
| 契約管理者 | 契約・支払い・メンバーの招待と削除 | 管理者を変更する手続き、退職時の引継ぎ |
架空の例
5人の事務所で、営業2人が見積と請求書を作り、事務長が確認して送り、経理が入金を確かめ、代表が契約を持つとします(架空の設定です)。この場合、作成者は2人、確認者と送付者は同じ1人、入金確認者は1人、契約管理者は1人です。ログインが必要なのは最大で5人ですが、「作成者が自分で送れないようにしたいか」によって、見る条件が変わります。
2製品の公式条件を役割に当てはめる
次の表は、Misocaとfreee請求書の公式ページ・ヘルプに書かれていた、複数人で使う場合の条件です。確認日と出典は表の最終行にあります。
| 確かめる点 | Misoca | freee請求書(Webプラン) |
|---|---|---|
| 複数人で使える契約 | 有償プランのチーム機能。無料プランは対象外 | スタンダード・アドバンスとも、メンバーの招待とカスタム権限の設定に対応 |
| 人数の上限 | 同時利用の上限: プラン15 2名、プラン100 5名、プラン1000 30名 | 公式で確認招待できる人数の上限と、人数による料金の違いは公式へ問い合わせる |
| 招待された人ができること |
| カスタム権限で、メンバーごとに使える操作を設定する(設定できる項目は公式ヘルプで確認) |
| 作成と確認で操作を分ける設定 | 公式で確認チーム機能の公式ページには、閲覧だけの権限など役割ごとの設定の案内がない | カスタム権限で設定する |
| 送る前の承認 | 公式で確認チーム機能の公式ページには、送付前の承認の案内がない | スタンダード: オプション/アドバンス: 基本料金に含む |
| 出典と確認日 | 弥生「Misoca チーム機能」、弥生「Misoca 料金プラン」() | freeeヘルプ「freee請求書のプランについて」() |
Misocaは、有償プランのチーム機能で複数人が使え、プランごとに同時利用の上限があります。公式ページの説明では、招待されたメンバーはほかのメンバーが作った帳票の閲覧・編集・郵送・メール送付もできます。つまり、作成者と送付者を分ける運用は、ソフトの権限ではなく社内の手順で決めることになりそうです。役割ごとの権限設定があるかは、公式に確かめる項目として残ります。
freee請求書のWebプランは、メンバーの招待とカスタム権限の設定に対応していると案内されています。承認機能はプランによって扱いが違い、スタンダードではオプション、アドバンスでは基本料金に含まれます。承認を記録に残したい場合は、どちらのプランで見積もるかが最初の分かれ目です。人数の上限や、人数による料金の違いは、確認した資料には記載がなく、見積の際に聞く項目になります。
契約管理者と退職時の引継ぎ
見落としやすいのが、契約管理者の役割です。契約を申し込んだ人のメールアドレスやログインが、そのまま管理者になることがあります。その人が退職すると、支払い方法の変更、メンバーの招待と削除、解約の手続きができなくなるおそれがあります。
管理者を誰にするかは、ソフトを契約する前に決めます。個人のメールアドレスではなく、部署や事務所で管理するアドレスを使えるか、管理者を後から別の人へ変更できるかは、公式の手続きで確かめてください。退職者のログインを止める手順も、同じ場面で確認しておくと、切替後に慌てずに済みます。
公式へ聞く質問
役割の表から出る質問は、次のとおりです。
- 作成する人と確認する人で、使える操作を分けられますか。どの設定画面で確かめられますか
- 送る前の承認はどの契約で使えますか。承認の記録はどこに残りますか
- メンバーを招待できる人数に上限はありますか。人数を増やすと料金は変わりますか
- 契約の管理者を別の人へ変更する手続きはありますか。退職したメンバーのログインはどう止めますか
これらの質問は、確認メモのツールで作成と確認の設問を選ぶと、比較表の該当する行と一緒にまとめられます。2製品の条件を同じ行で見るには比較表を使ってください。